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2026.08.24

【神様会議レポート vol.1】

【神様会議レポート vol.1】

神様ゲスト:株式会社ARI 小林千佳さん、岩野耕祐さん

 

【神様会議とは?】

『神様なら、どう考える?』

ー神様なら、どうやっていい社会にする?

ー神様なら、神様ならどうやって幸せを引き寄せていく?

 

自分が神様だったら…という視点から、身近なことや広く人生観を見つめ、

異業種から、福祉へ繋がる小さな種を見つけるトークセッション。

 

 

中禅寺湖畔に誕生する「全8室」の超少室ラグジュアリーホテル。

株式会社ARIが挑む、日本発・伝説のホスピタリティグループへの軌跡

 

「建物の佇まいも事業も、すべては『人のあり方』の投影である」

そう語るのは、株式会社ARIの共同創業者である小林千佳氏と岩野耕祐氏だ。コロナ禍において実家のホテルがM&Aされるという激動を経験した小林氏。彼女が祖父の遺志を継ぎ、5年もの歳月をかけて見つけ出した栃木県・中禅寺湖畔の土地で、今、世界に類を見ないスモールラグジュアリーホテル計画が動き出している。

専門家や銀行からの「無謀だ」という声を跳ね返し、世界的建築家・坂茂氏をも動かした二人の情熱。彼らが目指す「真のホスピタリティ」と「ジャパニーズ・ラグジュアリー」の真髄に迫った。

 

1.祖父の遺志と「ジャパニーズ・ラグジュアリー」への挑戦

――まず、株式会社ARIの設立と、今回の中禅寺湖畔でのホテルプロジェクトが立ち上がった経緯を教えてください。

小林 千佳氏(以下、小林): 私は丸の内ホテルの創業者一族の出身なのですが、コロナ禍をきっかけに実家のホテルがM&Aされるという経験をしました。その際、祖父が遺した「真のホスピタリティとは何か」という1枚のメモを見つけたんです。この問いに答えを出すことこそが自分の使命だと確信し、自らホテル事業を立ち上げることを決意しました。

5年間、理想の土地を探し続け、ようやく巡り合ったのが栃木県の中禅寺湖畔です。「日本の美意識と精神性を次世代に残す」をコンセプトに、建築家の坂茂氏に設計を依頼しました。

岩野氏(以下、岩野): 社名の「ARI(アリ)」は、まさに「人のあり方」から取っています。私はもともと研修会社の営業をしていましたが、彼女のホテルにかける圧倒的な情熱とビジョンに感銘を受け、その夢を共に叶えるために独立して会社を設立しました。私たちが目指すのは、ただ豪華なホテルを作ることではなく、日本発のグローバルな「伝説のホスピタリティグループ」を創り上げることです。

 

2.「一室一担当+バトラー」がもたらす、究極のパーソナライズ

――今回構想されているホテルの具体的な特徴と、お二人が定義する「ホスピタリティ」についてお聞かせください。

小林: 新しく誕生するホテルは、全8室・最低でも100平米以上という超少室のスモールラグジュアリーです。

私が考えるホスピタリティの根幹は、マニュアルに沿った「サービス(言われたことをやる)」ではなく、相手への強い興味関心に基づいた「想像力」です。お客様が口に出さない細かなニーズや世界観にどれだけ感情移入し、先回りできるか。そのために、お客様の利き手や荷物の数といった細部までチーム全体で可視化・共有するシステムを構築しています。

岩野: この全8室に対して、「一室一担当+バトラー」という専任制を導入します。お客様と対面していない時間、どれだけその方のことを想って準備できるかで、お迎えする瞬間の質が圧倒的に変わります。この徹底したパーソナライズこそが、私たちの強みです。

※バトラー(Butler):宿泊客1人ひとりの専属執事として、身の回りのお世話や要望への対応を行う客室係のこと

 

3.「無謀」と言われた銀行融資を覆した、揺るぎない信念

――専門家や銀行からの反対もあったそうですが、どのようにして乗り越えられたのでしょうか。

小林: 専門家の方々からは「無謀だ」「そんなものはできない」と何度も否定されました。しかし、私の中に「これまでにない新しい価値を生み出す」という確固たる自信があったため、一度も考えがブレることはありませんでした。むしろ逆境がエネルギーになりましたね。

岩野: 銀行融資を断られた際も、「私たちの提案する価値が、まだ相手に伝わっていないだけだ」と捉え、落ち込むことはありませんでした。そこで諦めるのではなく、私たちの姿勢を信じてくれた銀行に対して、頼まれてもいないのに毎月自発的に進捗報告を送り続けました。その誠実さと熱意が実を結び、最終的に融資を勝ち取ることができたんです。

 

4.組織として「苦手な顧客」にどう向き合うか

――現場での人間関係や、いわゆる「苦手なお客様」への対応について、組織としてどう考えていますか?

小林: プロフェッショナルとして、仕事中に個人的な好き嫌いの感情を持ち込むべきではないと考えています。ただ、人間ですからどうしても相性はあります。その場合は、個人の精神論に頼るのではなく、「そのお客様の対応が得意なメンバーと交代する」というチームとしての役割分担を機能させることが重要です。

岩野: 私は少し違う角度からアプローチしていて、苦手な人が目の前に現れたときは、自分の「好きになる能力」を磨く人格形成のチャンスだと捉えています。なぜそのお客様がそのような態度をとるのか、背景にある文脈を想像し、理解しようと努めることで、ネガティブな感情は乗り越えられます。また、クレームに関しても「事実」と「個人の解釈」を切り離して捉え、自己成長の機会にしています。

 

5.ホテルは人生を変える「体験の箱」であり、サグラダ・ファミリアである

――最後に、この事業を通じて実現したい未来のビジョンを教えてください。

岩野: 私たちは、AI時代だからこそ仕事とプライベートを切り離さない「ライフワークブレンド」の働き方を大切にしています。

「ホテルで人の人生は変えられるか?」という問いに対して、私はイエスだと答えます。人生が変わるとは、つまり「行動が変わる」ということです。私たちのホスピタリティに触れたお客様が、何らかのインスピレーションを受け、明日の行動を変えるきっかけになる。それこそが、ホテルが持つ「人生を変える力」です。

小林: ホテルは単に宿泊する場所ではなく、一生の記憶に残る体験を提供し、人生を豊かにする「体験の箱」です。

岩野: 私たちの掲げる理念やビジョンは、私たちがこの世を去った後も、次世代のメンバーによって議論され、進化し続けるものであってほしい。それはまるで、完成することのない「サグラダ・ファミリア」のようです。この中禅寺湖畔のプロジェクトを皮切りに、世界に誇る伝説のホスピタリティグループを創り上げていきます。

 

6.参加者の声

Tさん
常にお客様、利用者様に対してのホスピタリティを忘れず、尚且つ自分も夢に向かって進んでいくという小林様、岩野様の素晴らしいお話に感動致しました。今後も大好きな言葉「ありがとう」の感謝の気持ちを忘れずにもっと頑張りたいと思いました。


・Sさん

特に印象に残ったのは、「他者を好きになれる能力を身につける」というお言葉です。今後は自分の感情のままに行動するのではなく、利用者さんや職員の方々への接し方を改め、自分の感情をコントロールした上で、理解を深めながら、人生を通して身につけられるよう努力していきたいと思います。


・Mさん

今回の講義で印象的だったのは「自己開示する」という言葉でした。

ホスピタリティについてのお話しで相手の事を知る為には自己開示もするという事、とても納得でき自分の今までの行動を振り返り、改善するべき事も見つかったように思います。


・Uさん

お互いの経験や強みを活かしながら協力し合う関係性も素晴らしいと感じました。福祉の仕事も利用者さん一人ひとりを思い、人生の幸せに貢献できる仕事です。今回の学びを今後の支援に活かし、信念を持って取り組んでいきたいと思いました。